【結論】ITOYA110 イレーサブルボールペン3は、真鍮軸の重厚感とペン先のブレの少なさが魅力の、回転繰り出し式フリクション3色ボールペンです。太めで重いペンが好きな私には、かなり好みの書きごたえでした。マットブラックの質感も高く、シンプルな見た目と高級感にはおおむね満足しています。
ただし、税込11,000円という価格に対して、気になるところもあります。中でも一番大きいのが、ペン先の視界の悪さです。軸の太さが先端近くまで続くため、書いている文字が見えにくい。さらに、リフィル交換時にセンターリングが動く作りや、クリアカラーの消去用ラバーなど、細部まで手放しで褒められるペンではありません。
「上質な軸でフリクションを使いたい」「ずっしりしたペンを楽しみたい」という方には検討する価値があります。一方で、軽快さや長時間筆記を優先する方には勧めにくい一本です。今回は実際に使って分かった長所と弱点に加え、ユニボール ワン 3、数量限定のJETSTREAM PRIME 回転繰り出し式3色ボールペンとの違いも整理します。
ITOYA110 イレーサブルボールペン3の基本情報

今回購入したのは、2026年6月発売の伊東屋「ITOYA110 イレーサブルボールペン3」。価格は税込11,000円です。黒・紺・赤・白・グレーの5色展開で、私が選んだのは黒になります。
購入したのは銀座伊東屋の本店です。YSTUDIOの創業者にお会いするため東京へ行った際、初めて本店にも立ち寄りました。もっと入店の敷居が高いお店を想像していたのですが、実際は思っていた以上にカジュアルで、入りやすい大型文具店という印象でした。ロメオNo.3のグリーンやエクリドールとも迷った末に、以前から気になっていたこちらを選びました。

ITOYA110は、伊東屋の創業110周年を記念して2014年に始まった筆記具シリーズです。私は同シリーズのシャープペンシルも持っていますが、そちらは剛性が高く、書き心地も非常に良いペンでした。PILOTのフレフレ機構を搭載したシャープペンシルと、今回のフリクションを使った3色ボールペン。機能は違っても、シンプルなデザインにはシリーズとしての統一感があります。

軸は真鍮製で、全長141mm、軸径11.8mm、重量34.5g。手に持つとしっかり重さがあり、細身で軽いペンとは明らかに違う存在感があります。私は購入前に店頭で試し書きをしましたが、太さと重さを含めて、なかなか書きごたえのあるペンです。

黒の塗装はマットで、指で触るとサラサラしています。見た目の質感はかなり良いです。一方で、つやのあるグロス仕上げのカラーと比べると、指への吸い付きは弱く、黒の軸は滑りやすい。色を選ぶときには、見た目だけでなく、この握った感触の違いも気にしたいところです。

軸には伊東屋のマークと「FRIXION TECHNOLOGY INSIDE」の表記があります。中身はPILOTのフリクションインキで、黒・赤・青の3色を搭載。筆跡を消せる実用性を、伊東屋らしい落ち着いた金属軸に収めた商品です。
回転繰り出し式の機構は、左右のどちらにも回し続けられるタイプ。ペン先が出た位置ではカチッと止まり、引っ込んだ位置ではロックされません。フリクションの多色ペンではスライドレバー式をよく見かけるので、回転式を選べるのは嬉しいです。レバーが表に出ない分、外観もすっきりしています。
軸の境目にはセンターリングがありますが、組み上がった状態では段差がなく、フラットにつながっています。握ったときに境目が気にならず、見た目もきれい。この仕上げは、個人的にかなり評価したい部分です。クリップは長めのマットブラックで、硬さは硬めでした。
パッケージはシンプルな作りで、取扱説明書兼保証書が付属します。本体仕様は伊東屋公式の商品ページでも確認できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | ITOYA110 イレーサブルボールペン3 |
| ブランド | 伊東屋 ITOYA110 |
| 発売 | 2026年6月 |
| 価格 | 11,000円(税込) |
| レビューカラー | 黒 |
| カラー展開 | 黒・紺・赤・白・グレー |
| 全長 | 141mm |
| 軸径 | 11.8mm |
| 重量 | 34.5g |
| 軸素材 | 真鍮(黄銅) |
| 機構 | 回転繰り出し式 |
| インク | フリクションインキ/黒・赤・青 |
| ボール径 | 0.5mm |
| リフィル | PILOT LFTRF40EF |
| 重心 | 中央 |
| 消去用ラバー | 天冠キャップ内に収納 |
使用した感想
書き心地

まずは、デスクの上に置いたコピー用紙一枚に書いてみました。さらさらと書けて、書き心地は良いです。フリクションのペン先には若干カリカリした感触がありますが、このペンはブレが非常に少ないため、その感触が必要以上に気になることはありません。
ペン先が落ち着いているので、多色ペンでありながら安心して線を引けます。私は太めで重いペンが好きなので、軸をしっかり握り、ペンの重さを使って軽く書けるところも気に入りました。軽い樹脂軸のフリクションとは、手に残る感触が違います。
次にノートへ書いてみると、コピー用紙一枚のときよりも心地よくなりました。硬い机を直接拾う薄い紙の状態より、厚みのあるやわらかい紙面の方が滑らかさが増します。同じペンでも下にある紙の厚みによって感触が変わるので、このペンを試すなら、普段使うノートにも書いてみてほしいです。


初期搭載リフィルはPILOTのLFTRF40EF。ボール径0.5mmで、フリクションボール2ビズに使われるリフィルです。プレミアムフリクションインキではありませんが、今回書いた印象では薄すぎず、明るい色味でした。フリクションの書き心地を保ちながら、軸側の安定感で気持ちよく書かせてくれます。
フリクションは摩擦熱でインキが無色になる仕組みです。筆跡そのものを紙から取り去っているわけではなく、60℃以上で無色になり、−10℃前後では消した筆跡が戻る場合があります。証書類や宛名など、消えてはいけないものには使えません。詳しい取り扱いはPILOTのフリクション公式案内をご確認ください。
重心バランス
重心は中央です。34.5gの重さがあるので、手に持ったときのずっしりした感触ははっきりあります。私はこの重さが好きで、書くときの手応えにもつながっています。
ただ、重いペンが好きなことと、長時間筆記に向いていることは別です。このペンを軽量な多色ペンのようなつもりで選ぶと、扱いにくくなります。私には好みのサイズ感ですが、長時間にわたって大量に書く用途には向いていません。重量を支えながら使うことになるので、軽さを求める方には合わないです。
太さと重さを数字だけで判断せず、できれば店頭で握って、実際に書いてから選ぶのが良いです。私自身も試し書きをして購入しました。特にこのペンは、後ほど触れるペン先の視界も含めて、握っただけでは分からない相性があります。
剛性感

このペンで良かったのは、多色ペンでありながらペン先のブレが非常に少ないことです。繰り出したペン先をつまんで揺すってみても、ほとんど動きません。筆記時の安定感はかなり良いです。
多色ペンや多機能ペンは、内部に並んだリフィルを斜めに送り出す構造です。そのため、ペン先の穴をぎりぎりまで小さくすると、リフィルが引っ掛かって出てこなくなります。単色ペンとは違い、構造上ある程度の余裕が必要で、ブレが生じるのは避けにくいところです。
ITOYA110 イレーサブルボールペン3は、その必要な余裕を残しながら、ブレを最小限に抑えています。重い金属軸だから良い、というだけではなく、紙に触れるペン先が落ち着いていることが書き心地につながっています。この部分は素晴らしいです。
一方、リフィル交換で下軸を引き抜くと、センターリングがぶらぶらと動きます。組み上がったときの段差のなさは良いのに、開けたときの作りには安っぽさが残りました。筆記時のペン先の安定感は評価できますが、パーツを外したときの質感まで同じように高いわけではありません。11,000円のペンとしては、ここは残念です。
良かった点

一番気に入ったのは、シンプルな外観と質感です。どちらかといえばビジネス向けの落ち着いたデザインで、マットブラックの軸と長めのクリップがよく合っています。多色ペンらしい色別レバーがなく、フリクションの機能を持ちながらも、見た目はすっきりした高級筆記具にまとまっています。
軸のつなぎ目がフラットなのも良いです。センターリングのところに目立つ段差がないため、外観の流れを崩しません。実際に触れたときにも、ここだけ引っ掛かるような形になっていないのは嬉しいところです。
また、ペン先のブレの少なさと、私好みの太さ・重さが合わさって、書くこと自体を楽しめます。フリクションには軽くて便利なペンがたくさんありますが、このペンにはしっかりした書きごたえがあります。いつものフリクションの使い方を、気に入った金属軸で続けられる点に魅力があります。
消去用ラバーがキャップの中に隠れる構造も良いです。ラバーが常に見えると、汚れや黄ばみが外観に影響しますが、このペンは普段キャップを閉じておけます。消す機能を使わないときの見た目を、きれいに保てる作りです。
気になる点

一番気になったのは、ペン先の視界の悪さです。軸が太いだけでなく、その太さが先端近くまで続いています。そのため、書いている文字が見えにくい。これまでいろいろな多色ペンや多機能ペンをレビューしてきましたが、視界の悪さは、その中でもかなり上位に入ります。
握る部分の太さは私の好みですが、書く場所が見えにくいことまで長所にはできません。ペン先のブレが少なく、書き心地が良いだけに惜しいです。この見え方を許容できるかどうかが、購入するうえで一番大きな判断材料になります。


次に、クリアカラーの消去用ラバーです。長く使っていくと黄ばみや汚れが気になるので、個人的にはフリクションボールノックゾーンのようなブラックの方が良かったです。キャップがあるため普段は隠れますが、消すときには結局そのラバーが見えます。価格の高いペンですから、使うたびに見える部分の満足感にもこだわってほしかったところです。
対処するなら、本体のラバーを使わず、別売りのフリクションイレーザーを使う方法があります。私はクリアレーダーもフリクションを消す用途に向いていると思っていますが、本体に付いたラバーをきれいに保ちたいなら、まずは専用のイレーザーを別に持つのが分かりやすいです。
軸にインク色の表示が一切ない点も、人を選びます。個人的には表示がない方が見た目は好きです。ただ、使いたい色を選ぶときには、どの色が出ているかを確かめる必要があります。リフィルのペン先部分には色表示があるので、そこで判別できますが、軸の表示を見てすぐに切り替えるペンとは使い勝手が違います。
さらに、黒のサラサラした塗装は見た目こそ良いものの、グロス仕上げのカラーほど指に吸い付きません。滑りにくさを重視する方には、黒以外も実際に触って比較してほしいです。重さ、視界、色の選び方、塗装の感触。高級感だけで決めず、こうした日常の操作との相性を確かめたいペンです。
そして税込11,000円という価格。私も発売当初から気になっていましたが、「フリクションに一万円を超える金額を出すのか」と購入までかなり悩みました。消せる3色ペンという機能だけを求めるなら、この価格を選ぶ理由としては弱いです。真鍮軸の質感や回転式のデザインに、どこまで価値を感じるかで満足度が変わります。
他モデルとの比較
ここでは同じ回転繰り出し式の3色ボールペンとして、ユニボール ワン 3と、革目調塗装を採用した数量限定JETSTREAM PRIMEを比較します。形や質感に加えて、フリクション・ゲル・油性というインクの違いが、選び分けの出発点になります。
ユニボール ワン 3
ユニボール ワン 3は、コンパクトな太軸と、濃く鮮やかなゲルインクが特徴です。通常モデルは税込1,430円、ギフトバージョンは税込1,980円。私がレビューしたレコードブラックはギフトバージョンで、太めのフォルムを気軽に楽しめるところが良かったです。
ITOYA110は真鍮軸の重厚感を楽しむ方向ですが、ワン 3は樹脂軸の軽快さと取り回しの良さが魅力です。どちらも太めのペンですが、太さだけで似た書き心地になるわけではありません。ずっしりした手応えが欲しいならITOYA110、持ち歩きや片手での色替えを重視するならワン 3が選びやすいです。
重心はITOYA110が中央、ワン 3が高重心です。以前レビューしたワン 3は17.5gで、34.5gのITOYA110とは17gの差があります。ワン 3は太軸でも軽く、ITOYA110は重量そのものを筆記の手応えとして楽しむペンです。同じ回転式でも、手の中で支える重さには大きな違いがあります。
ワン 3にもペン先のブレを抑えた安定感があり、価格が安いから書き心地を大きく妥協するということはありません。リングの色表示にクリップを合わせて色を選べるため、色表示のないITOYA110より、使いたい色も把握しやすくなっています。
大きな違いは、筆跡を消せるかどうかです。書き直せるフリクションが必要ならITOYA110。消す機能を求めず、くっきりした筆跡と扱いやすさを優先するならワン 3が合います。スタイルフィットのボールペン用リフィルへ差し替えられる点もワン 3の強みです。

数量限定 JETSTREAM PRIME 回転繰り出し式3色ボールペン
比較するのは、2025年11月発売の革目調塗装を採用した数量限定モデルです。インディゴとミルクティーの2色で、価格は税込3,080円。
限定プライムの良さは、質感と握りやすさが結び付いているところです。革目調塗装によって指が掛かりやすく、通常モデルよりもグリップ感が良くなっていました。ITOYA110の黒はサラサラしたマット塗装で、見た目は上質ですが滑りやすさもあるので、握ったときの好みは分かれます。
以前レビューした限定プライムは19.5gで、ITOYA110より15g軽いペンです。重心は高重心ですが、短めのボディで扱いやすくまとまっています。ペン先のブレも少なく、剛性感は十分。ITOYA110と比べると、しっかりした金属軸の感触を残しながら、日常で使いやすい重さに収めた設計です。
書き心地も違います。プライムに搭載されたJETSTREAM Lite touch inkは、軽い力でスルスルと進む滑らかさが特徴です。一方で、筆圧をかけてしっかりコントロールしたい方には滑りすぎます。ITOYA110のフリクションは若干カリカリした感触があり、ずっしりした軸を使って書く手応えを楽しめます。
上質な回転式3色ペンが欲しいという条件なら、限定プライムは価格を抑えられる有力な選択肢です。ITOYA110を選ぶ理由は、さらに重厚な真鍮軸と、筆跡を消せることにあります。滑らかな油性インクとグリップ感を優先するなら限定プライム、消せる機能と重量感を求めるならITOYA110という選び方です。

こんな人におすすめ
✅ 向いている人
- 上質な真鍮軸でフリクションの3色を使いたい人
- 太めで重いペンの書きごたえが好きな人
- ペン先のブレの少なさを重視する人
- 色別レバーのない、シンプルな回転式デザインが好きな人
- ペン先の視界を確認したうえで、この質感に11,000円の価値を感じる人
❌ 向いていない人
- 長時間の筆記に使う軽いペンを探している人
- 書いている文字やペン先を見やすいペンが欲しい人
- 軸の表示を見て、使いたい色をすぐに選びたい人
- 消せる3色ペンを価格優先で選びたい人
- リフィル交換時のパーツの動きなど、細部まで高級感を求める人
総合評価
| 評価項目 | 点数 |
|---|---|
| 書き心地 | 8/ 10 |
| 重心バランス | 6/ 10 |
| 剛性感 | 8/ 10 |
| デザイン | 9/ 10 |
| コスパ | 5/ 10 |
総合評価:7.2 / 10
質感、重さを使った書きごたえ、ペン先のブレの少なさは気に入りました。反対に、視界の悪さと細部の作りには不満が残ります。フリクションの便利さだけで評価するペンではなく、この軸を使いたいと思えるかどうかで評価が大きく変わる一本です。
今回のまとめ
ITOYA110 イレーサブルボールペン3は、真鍮軸の質感と回転式のすっきりしたデザインを楽しめる、消せる3色ボールペンでした。私は太めで重いペンが好きなので、サイズ感は好みです。多色ペンとしてブレの少ないペン先も良く、実際の書き心地には満足できました。
ただし、手放しでおすすめできる商品ではありません。11,000円という価格に対して、センターリングの作りやラバーの色は惜しいですし、何より先端の視界が悪い。ここを許容できるかどうかが、購入の判断を分けます。
軽快に使うならユニボール ワン 3、油性インクの滑らかさと革目調のグリップ感を楽しむなら数量限定JETSTREAM PRIME。そこからさらに、消せることと真鍮軸の重量感を求める方に、ITOYA110 イレーサブルボールペン3が合います。気になる方は、ぜひ店頭で書いたときの見え方まで確認してみてください。

