【結論】Pentel SUPER Multi8は、一般的な多機能ペンとは全く異なる思想で作られた筆記具です。ボールペン・シャープペン・色鉛筆を一体化させるという発想自体は珍しくありませんが、本モデルは「ドロップ式」という独自機構によって、それらを一本に収めるという極めて特殊な構造を採用しています。
実際に使ってみると、現代の多機能ペンのような洗練された快適さとは方向性が異なり、「使いこなす楽しさ」が前面に出ている筆記具であることが分かります。書き心地自体はしっかりしており、特にペン先のブレのなさはこの構造ならではの強みです。
一方で、内部構造によるカチャカチャ音や互換性の制限など、現代基準で見ると明確な弱点も存在します。しかしそれらを含めて、このペンの個性であり魅力でもあります。
結論としてこのモデルは
「実用性よりも構造と体験を楽しむための、唯一無二の多機能ペン」
です。現代的な快適さを求める人には向きませんが、筆記具としての面白さを求めるならこれ以上ない一本です。
スーパーマルチ8の基本情報

今回紹介するのは、2026年1月22日にリニューアルされた「Pentel SUPER Multi8」。価格は税込3300円です。本モデルは完全な新商品ではなく、従来モデルをベースにパッケージやリフィル構成を見直したリニューアルモデルとなっています。
このペンのルーツは1982年に発売された「プリズメイト」に遡ります。これは8色のカラー芯を切り替えて使える世界初の機構を搭載したモデルであり、その後1987年に「マルチ8」、1988年にボールペン機能を追加した「スーパーマルチ8」へと進化しました。


1989年にはグッドデザイン賞を受賞しており、約40年にわたって基本構造を変えずに販売され続けている、非常に珍しい筆記具です。
今回のリニューアルでは、環境配慮の観点からパッケージが紙製に変更され、デザインも現代的な印象へとアップデートされています。また、初期搭載リフィルの構成にも変更が加えられており、より実用性に寄せた内容となっています。
本体のデザイン自体はほとんど変更されておらず、この点もまた本モデルの特徴です。40年前の設計がそのまま現代でも通用しているという事実は、それだけ完成度が高いことの証明でもあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | Pentel SUPER Multi8 |
| メーカー | ぺんてる |
| 価格 | 3300円(税込) |
| 全長 | 140mm |
| 重量 | 16.8g |
| 軸径 | 最大13mm |
| 機構 | ドロップ式多機能ペン |
| リフィル | 8種(ボールペン+色芯+鉛筆) |
使用した感想

書き心地
書き心地はリフィルによって大きく異なりますが、総じて安定感があります。特に特徴的なのはペン先のブレのなさで、三又チャック構造によって芯がしっかり固定されるため、筆記時の安定感は非常に高いです。
ボールペンは油性で粘度が高く、滑らかさよりもしっかりした書き味です。ジェットストリームのような軽さはありませんが、筆記具としての安心感があります。
黒鉛(HB)も書きやすく、安定した筆記が可能です。ただし硬度の選択肢がない点はやや物足りなさを感じます。
カラー芯については発色がやや薄く、重ね塗りもしにくい仕様です。実用的なメモ用途には十分ですが、本格的なイラスト用途には向かない印象です。
重心バランス
重心は高重心寄りですが、重量が軽いため扱いにくさはありません。むしろ軽さによる取り回しの良さがあり、多機能ペンとしては非常に扱いやすい部類に入ります。
内部に8本のリフィルを収納しているにもかかわらず、このサイズと重量に収まっている点は非常に優秀です。
剛性感
剛性感は非常に高いです。特に芯ホルダー部分の構造がしっかりしており、筆記時のブレや不安定さはほとんど感じません。
一方で内部構造上、リフィルが完全に固定されていないため、持ち運び時や使用時にカチャカチャと音が鳴ります。これは剛性の問題ではなく構造的な特徴ですが、気になる方には大きなデメリットとなる可能性があります。
良かった点

このペンの最大の魅力は、やはり機構の面白さです。ドロップ式という独自の仕組みによって、8種類のリフィルを直感的に切り替えて使える体験は、他の筆記具では味わえません。
また、ペン先のブレがほとんどない点も大きな強みです。多機能ペンでありながら、単機能ペンに近い安定感を持っているのは評価できます。
さらに、このサイズと重量で8機能を実現している点も非常に優秀です。携帯性と機能性を高いレベルで両立しています。
気になる点

最も気になるのは、内部のカチャカチャ音です。リフィルが動く構造上避けられないものですが、静かな環境ではかなり気になります。
また、リフィルの互換性がない点もデメリットです。特にボールペンは専用リフィルのみのため、自由度は低いです。
さらに、カラー芯の性能や蛍光芯の薄さなど、実用面で気になる部分もあります。現代の基準で見ると、やや古さを感じる部分は否めません。
他モデルとの比較
SHARBO X TF12
SHARBO Xは現代的な多機能ペンで、カスタマイズ性と質感に優れています。書き心地や操作性では明らかにこちらが上ですが、Multi8は構造の面白さで全く異なる価値を持っています。

OHTO MS02 3IN1
MS02はシンプルで実用性の高い多機能ペンです。日常使いではこちらの方が扱いやすいですが、Multi8は機能の多さと独自機構による体験価値が魅力です。

こんな人におすすめ
✅ 向いている人
- 多機能ペンの構造や仕組みに興味がある人
- 一風変わった筆記具を楽しみたい人
- コンパクトに多機能を持ち歩きたい人
- レトロなデザインが好きな人
❌ 向いていない人
- 静音性を重視する人
- リフィルの自由度を求める人
- 現代的な書き心地を重視する人
総合評価
| 評価項目 | 点数 |
|---|---|
| 書き心地 | 8 / 10 |
| 重心バランス | 8 / 10 |
| 剛性感 | 9 / 10 |
| デザイン | 8 / 10 |
| コスパ | 8 / 10 |
総合評価:8.2 / 10
今回のまとめ
Pentel SUPER Multi8は、現代の多機能ペンとは全く異なる方向性を持つ筆記具でした。実用性だけでなく、構造や歴史、使う楽しさといった価値を持っており、唯一無二の存在です。
万人向けではありませんが、筆記具の奥深さを楽しみたい方には強くおすすめできる一本です。


